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14.03.31  きっと明日はいいTomorrow~♪

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始まりがあれば、必ず終わりが来ます。
それがいつになるのか、気にならない事の多くを、我々は「日常」と呼ぶのでしょう。

昼時に入る定食屋やラーメン屋のテレビは、決まって『笑っていいとも!』が流れていました。
雨の日も、台風の日も、タモリさんはこのアルタから正午の時報と共に、実に32年にわたり、その時その時の
旬なタレントを迎えて、生放送を続けてきたのですね。

新鮮さを失わず、それでいてどこか安心感のある日本のお昼を代表するテレビプログラム。
それが『笑っていいとも!』だったと思います。
何日か前に新宿に立ち寄ったとき、すでにアルタはこの特別仕様になっていました。
明らかに「日常」が変わろうとしていたのです……。

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『笑っていいとも!』を見ながら大笑いをしたことがあるか?という疑念に記憶を辿ってみても、
特に何が……と、はっきりと思い出せるものが自分にはありません。
唯一覚えているのは、明石家さんまと大竹しのぶが結婚会見をした翌日(だったと思う)、
『いいとも』の生放送で、さんまがタモリさんに冷やかされながら、いじくり倒されていたのを楽しんだことぐらいでしょうか?
それよりも、Mr.レディ&Mr.マダムや、年齢当てコンテストといったキワモノ素人参加企画が印象に残っています。
特に当時キワモノ女子高生だった、しのざき未知の登場は驚愕としか言いようがありませんでした。
自分にとって『いいとも』は、「笑い」よりも「驚き」の番組であったように思います。

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この32年、自分はアルタ前やアルタの地下通路を、いったい何度通ったんだろう……。
でもタモリさんは、月~金まで、ここに通い続けたんですね。
夜の特番で、香取慎吾が「辛いとき、苦しいときがあっても、いいとも~!と拳を上げると笑っていたりして……」と、タモリさんに向かって謝辞を述べていましたが、それは僕らも同じだったかもしれません。

1985年8月の日航機墜落事故の翌日、正午から『いいとも』は通常通り放送がありました。
しかし、いつもならテレホンショッキングとなるコーナー冒頭で、タモリさんが報道局の露木アナを呼ぶ形で
画面が現場に切り替わると、生存者発見という信じられないスクープ映像となり、結局その報道に大部分を
割いて、テレホンゲストの俳優の川野太郎は、お友達を紹介してそのままエンディングというのも、
生放送の記憶として強烈に残っています。

その後も、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災等と、気持ちの持って行きようがない事件災害。
受験の失敗、失恋、親しい人との死別などがあっても、元の生活に意識を戻すきっかけとして、正午から流れる「♪お昼休~みはウキウキウオッチング……」というテーマソングを一緒に口ずさみ、タモリさんの呼びかけに、テレビの前でうつむきながらも「いいとも~!」と小さく拳を上げて、リスタートしたことが、きっと何度もあったように思います。
そうやって「日常」という、「ありふれた、あたりまえのこと」が「幸せの本質」なんだということが、
自分もこの32年分の年齢を重ねるにつれ、理解できるようになってきました。

特番では、タモリさん、さんま、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナインという、80~90年代のフジテレビ黄金時代を支えたオールスターが一緒の画面に映るという、なんともスゴイ光景に、「これがテレビなんだよなぁ~」と、久しぶりに唸りました。
こういうことがいつのまにか出来なくなってしまったフジテレビは本当に残念です。
このタイミングで『いいとも』が終了するのも、なんか仕方ないかもなあと思わせる、通常番組とは雲泥の差がありすぎる豪華共演に、32年という冒すことの出来ない時の積み重ねを見た気がします。

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タモリさんは先日の放送で、「笑っていいとも!とは?」という問いに、
「見たことがないのでわからない」と回答し、久しぶりにテレビの前で大笑いしてしまいました。

「だって32年間、この時間に昼飯食ったことがないし、休憩しながらテレビ見ていた訳じゃないから」
と、そりゃあそうだよなあと、テレビの外側にいる人の気持ちとは全く違う方向からの理由がおかしかったです。

でも今夜の特番の最後に、

「3カ月か半年で終わると思っていたら、32年間。視聴者の皆さまがいろんな思い、シチュエーションで見ていただいていたのが伝わってきました。皆さまにたくさんの価値を付けていただき、みすぼらしい私にすてきな衣装を着せていただき、このように直接お礼を言う機会を与えていただきましたこと、感謝しています。ありがとうございました」

と、結んでいました。

タモリさんはこの32年を「生放送で言ってしまったこと、やってしまったことの取り返しは出来ないので、反省は一切しなかった」と、振り返っていました。
きっと人生も、その場その時に下した判断については取り返しのつかないものなので、反省という名の後悔を嘆くより、前を向いて次に進めばいいと置き換えられるように思うのです。

時を同じくして、東京では桜が満開になり、神田明神は静かな春を迎えていました。

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人の営みに何があろうとも、時期が来れば桜は必ず咲きます。
この季節になると、日本人は気持ちの入れ替えを桜と共に行うと言っても過言ではないでしょう。
長く苦しいときも、時間の経過と共に、必ず変化が訪れる。
だから、ありのままを受け入れて、顔を上げ前を向いて歩きましょうよと……。

『笑っていいとも!』という番組は、タモリさんが赤塚不二夫先生から受け継いだ、「これでいいのだ!」という精神を、
少し苦しくなった日常を送る我々に向け、32年という膨大な時間をじっくりと使いながら説き続け、
そのブレない姿勢に勇気づけられた我々からの応援を「感謝」という言葉で受け取ってくれた、キャッチボールの結晶だったのかもしれません。

♪ 今日がダメでも いいTomorrow
  きっと明日は いいTomorrow

『いいとも!』がない明日も、きっと「いいTomorrow」でありますように。
タモリさん、スタッフの皆さん、32年間本当にお疲れさまでした!

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by sukekiyo2008 | 2014-03-31 23:59 | その他